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ねぇってば

第3章 必ず



「ごめんなさい」



「いやっ、いいんです、教えないのが普通です」


普通なことをなんで聞いたんだよって
自分に突っ込みたくなる



「ふつう……ですか」


「でも、いつか教えてください」

「それもふつう、ですか?」


「仲良くなった人にはだいたい教えます」



「信頼できる人…」


「そう、それです」



しゅうかちゃんは少し困った顔をした気がした
目線は俺の一方通行で相変わらず下を向いてる



「んっと…いつか、でいいんです、
もっとたくさん俺のこと知って、それからでいいんです」





手に握られていたゲーム機が床に落ちた

俺はとっさにそのゲーム機を拾おうと手を伸ばした



「いつか…」



不意に発せられた言葉に俺はしゅうかちゃんを見上げた


その目は潤んでいて
色白の肌は赤くなっていた


初めて見る 悲しい顔





「いつか、なんて…無責任なこと…言わないでください」




震える声でそう言って
素早くゲームを拾い足早に行ってしまった




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