ねぇってば
第9章 存在
「…本当はもっとたくさん
大野さんとお話したかったです
でも、でも、いつかいなくなるんじゃないか
って、自分の中で【大切な人】になったら
失った時すごく悲しいのもう知ってます…」
俺は時々相槌をうちながら話を聞いた
「本当はもっと…
おかあ と おとう と一緒にいたかったです
おとう は仕方が無いって言いました
最初は違かったんです
いつか帰ってくる って言ってたんです
そして最後には もう忘れろ って言いました
おかあ がいる時の幸せをまだ覚えています
悪いことした時にはちゃんと怒ってくれて
嬉しいことがあったら笑顔で話しかけてくれて
悲しい時には思いっきり抱きしめてくれて
偉いことをした時には頭をポンポンってしてくれます
でもいなくなった日から全部なくなりました
おとう が笑うことも少なくなりました
俺は絶対にいなくならない って言いました
しゅうかには俺がいる って言いました…
おとう の家に行くと寝てることが多くなりました
病気だってすぐに分かりました
それでもお仕事に行きました
たくさんの人が待ってるからって
裏切れないからって言いました
らいは行かないでって言えませんでした
一人にしないでって」