ご主人様は突然に
第1章 戦力外通告!?
それにしても
娘が離婚の危機だというのに
母も父もあっさりしすぎやしないか。
母は最初は憤慨してたけど
すぐキッチンに向かったし
離婚を勧めてきた父は
雑誌を眺めてにやついてるし
離婚には反対ではないのだろうか
予想とは違う両親の反応に
納得できないでいると
隣の部屋のドアが開いて弟が顔を出す
「姉ちゃん。もう話終わった?」
「あーうん。もういいよ」
「セン。もうあっち行っていいって」
「うん!」
センは嬉しそうな声を出すと
真っ直ぐ私の元へ走ってくる
たったそれだけで可愛い
「ママ!おなかすいたっ!」
「もう少し待って。今おばーちゃんが
ごはん作ってくれてるから」
センの頭を撫でながら弟に目をやると
弟はコクンと頷いてみせた
¨おじーちゃんは夢で見たことを
センに話したんだって。
だからママは泣いてないし
パパも悪いヤツじゃない。
おじーちゃんも嘘つきじゃなくて
良かったね¨
そうセンに教えてやって
と弟に頼んでいた。
頷いてみせたということは
センも納得したんだろう
「なにしてたの?」
「プリキュアごっこ!」
「そっか~……」
センは男児の登竜門とも言える
戦隊もの番組が大好きで
保育園まではなんとかレンジャーの
マネばかりしていた
それが小学校に入学すると
女児向けの番組¨プリキュア¨を見て
なぜか心を奪われてしまった
今では戦隊ものも好きだけど
美少女戦士ものも好きというスタンス
どうして好きなのか尋ねると
¨かわいくてつよいから!¨
と返ってきたのを覚えてる
ぼくもプリキュアになりたい!
とか言わないだけマシか、
と思うようになってからは
センが血迷わないように見守っている
せっかく可愛く産まれてきて
将来イケメンになる要素があるのに
オネエになられたら確実に泣く
ていうか、想像するのもやだ。
いや、センなら可愛く……
いやいやいや、やっぱ無理。
「遊んでもらえて良かったね」
「う~ん……」
私の言葉にセンは頬を膨らましながら
不満げな声を漏らした。