ご主人様は突然に
第1章 戦力外通告!?
おや。楽しくなかったのかな。
弟にチラッと目をやると
苦笑いをしながらセンを見つめていた
「アトくんね、プリキュアのマネ
すっごくへたなんだ!」
「そうなんだ。
じゃセンが教えてあげたら?」
「おしえようとおもったけどね、
アトくんプリキュアしらないんだって!」
そりゃそうだ。
子持ち男性なら分かるかもだけど
独身男性は知らない人のが多いし
逆に知ってたら、弟でも引くわ。
「だからアトくんは¨てき¨で
ぼくがプリキュアしたんだけど……
やっぱりプリキュアのマネは
ぼくよりマユちゃんのほうがじょうず!」
マユちゃん?
「マユちゃんって?
ママ初めて聞いた名前だけど」
「となりのせきのこ!
マユちゃんね、プリキュアみたいに
つよくてかわいいんだよ!」
興奮気味に話し
頬を赤らめる愛息子
あら。もしかして……
「センはマユちゃんが好きなの?」
「うん!ぼくよりつよいからすき!」
「……ん?
センより強いから、好きなの?」
「うん!てきがきても
マユちゃんにまもってもらうんだ!」
待て。それ逆だから。
普通は男の子が守る側だから。
「ちょっと待ってセン。
センがマユちゃんを守ってあげたいとは
思わないの?」
「う~ん、だってぼく、
けがとかしたくないもん!!」
まじか。ヘタレ宣言か。
つーか、そういうヘタレなとこは
旦那ソックリかも。
「ブハッ」
黙って聞いていた父が吹き出していた
よく見れば弟も笑いをこらえている
ここはセンのためにも
進むべき道を教えてあげなくては。
「あのねセン。ママとしては
センには女の子を守れるような
強い男の子になって欲しいかな……」
「えっそうなの!」
「無駄にケンカするのはだめだけど
女の子を守る時だけ強い男の子って
すごーくカッコいいと思うよ」
「そうなんだ!ママがそういうなら
ぼくつよいおとこになる!」
「ハハハッ、そっか~
じゃセンが強い男の子になったら
ママのこともたまに守ってね」
「うん!まかせてっ!」
私の腰に抱きつき
にこにこ笑って見上げてくるセンが
可愛くて愛しくて
¨時間が止まればいいのに¨
そんなことを考えていた。