ご主人様は突然に
第1章 戦力外通告!?
「フフフ。楽しそうな話ね~」
母がにこにこしながら
人数分の丼を運んできた
「セン、おばーちゃんにもあとで
詳しくお話聞かせてね。
お腹空いたでしょ、昼ごはんにしようね」
「うんっ、おなかすいた!」
センがテーブルに走って近づく
それに続いて、テーブル上の丼を覗くと
センの大好物の親子丼だった
「おやこどんだっ!!
ぼく、てぇあらってくる!」
目を輝かせながらセンは手洗いに向かう
言われなくても
やるべきことを理解しているセンは
そういう面でも自慢の子だ
「あ、そういえば……これあんたに」
センを見送りながら微笑む私に
母がハガキを渡してきた
旧姓の宛名で届いたそれは
高校の同窓会を報せるもので
「同窓会なんて久しぶりじゃないの?
たまには行ってきたら?」
卒業してから何度か同窓会はあったけど
仲が良い友達とは定期的に会うし
別に行かなくても、と避けていた
同窓会を、と言うよりは
¨ある人物に会いたくないから¨
が避けてる理由として正しいけど
「うーん……あ、明日なんだ」
「行くならセンは預かるわよ。
ちなみにナナコちゃんは行くって」
「え、ナナコ?」
「一昨日だったかな。
ウチ来た時、あんたからメールの返信が
来ないって言ってたけど?」
「あー……」
そういえば、来てた気がする。
寝起きに見て、バタバタしてたから
すっかり忘れてた。
ナナコも電話してくれたらいいのに。
「電話くらいしておきなさいよ」
「うん。分かってる」
昔からメールが苦手な私は
友達からメールが届いても
電話で返すことがほとんどで
バタバタしてると
電話すら返すのを忘れてたりする
ごはん食べたら電話しよ。
キッチンで手を洗ってると
センが戻ってきて
母に手のひらを見せた
「おばーちゃんみてみて。
きれいにあらえたよ」
「あら、本当。
センはなんでも上手にできるねぇ。
ヨシヨシ……さっごはん食べよう」
「うんっいただきまーす!」
センがにこにこして美味しそうに
親子丼を頬張るのを見つめてから
もう一度ハガキを見直した。