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ご主人様は突然に

第7章 《未定》

~カズ side~



パーキングに到着し車に乗り込む。



大通りに出てから

マサキさんが口を開く。



「そんなことだろうと思ってた。
だから上手くいかなくなるんだよ。
いくら夫婦でも元は他人なんだから
¨言わなくても分かってくれる¨は
通用しねぇんだよ」



マサキさんの言葉が心に突き刺さる。



「会話がなくなれば夫婦じゃなくて
ただの同居人に成り下がる。
お互いのことに無関心になり始めたら
もう戻れなくなるんだよ」


「そう、ですよね……」


「まぁ夫婦の問題は
親族でも口を挟むことじゃねぇと
俺は思ってる。
でも……マナカはあんなでも
俺にとっちゃ可愛い妹だからな。
やっぱ幸せになって欲しいんだ」


「………」



マサキさんの兄として家族としての

気持ちが痛いほど伝わってきて

すみませんと謝るのも違う気がして

何も言えなかった。



「それでもカズだけが
悪いんじゃないんだろうと思ってるよ。
マナカにも悪いところがあったんだろ」


「マナカは……悪くないです。
悪いのは俺のほうで……」



はぁ……とため息を吐くと

マサキさんがふっと鼻で笑う。



「まぁ、女にいろいろあるように
男にもいろいろあるからな。
カズの気持ちも分からなくはないよ」


「ハハハ……」


「でも逃げたのはよくねぇな。
カズと連絡取れない!って
マナカ、怒り狂ってたぞ」


「ああ……ですよね。
俺も正直、気持ちの整理がつかなくて
出られなかったんです」


「その気持ちも含めて
全部マナカに話してやれよ。
一番気持ちの整理がついてないのは
たぶんアイツだから」


「はい……そうします。
マナカとセンは……元気にしてますか?」


「それは自分の目で確認しろよ。
もうすぐ会えるだろ」


「やばい……
どんな顔して会えばいいのか……」


「なに言ってんだよ。
心から申し訳ないと思ってんなら
それは自然と顔に表れるんだよ。
旦那として親として
二人に向き合ってやればいい」


「……そうですね」



マサキさんのおかげで少し落ち着いた。



二人とちゃんと、向き合おう。



マナカとセンの顔を見て

ちゃんと¨会話¨をしよう。


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