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ご主人様は突然に

第7章 《未定》




「~~~!!」



バッと足を閉じて

恥ずかしさのあまり

膝の上に顔を伏せる。



「俺のパンツ貸してやろうか?
それとも、このまま帰る?」



「………私の濡れたって……
本当に……その………」


「ああ、盛大に漏らしたよ。
なに、恥ずかしがることねぇよ。
俺が漏らしていいって言ったし」


「いや……そういう問題じゃ……」


「お前のは洗濯してるから
どっちみち今日は俺ので我慢して。
そろそろ送るから準備しろよ」


「う……分かった……」



ああ、泣きそう。

いくら気持ちよかったとはいえ

カオルにイカされて

おまけにお漏らしするなんて……



のそのそと立ち上がり

ベッドから離れると

カオルも立ち上がって

クローゼットからなにかを取り出し

私に差し出す。



「新品ならまだマシだろ?」



それは未使用のボクサーパンツ。



「あ……ありがと……」



こういうところは気が利くなぁと

思いながら素直にお礼を伝えると

カオルはじっと私の顔を見つめる。



「え……なに?」


「……カズが見つかったって
トムさんから連絡きた」


「えっ……」



カズが……?



「仕事のあと実家に来るらしい。
……見つかってよかったな」



そう言ってポンと私の頭を撫でる

カオルは私から目を逸らしていた。



カオル……?



「リビングで待ってるから」


「うん……」



わずかに微笑んで

カオルが寝室を出ていく。



ドアが閉まった途端

フラフラとベッドに腰かけた。



カズ……見つかったんだ。

やっと、話し合えるってことだよね。



でも話し合ったところで

なにかが変わるのかな。



カズが別れたいのなら

私に気持ちがもうないのなら

自由にしてあげるべきなのかな……



ああ……だめだ。

怖くて……弱気になってる。



ちゃんとカズの話を聞いて

いろいろ整理しなきゃ。



センと自分のためにも

中途半端はよくない。



カオルから受け取った

パンツを穿いて、身を整える。



寝室のドアを開けると

カオルが壁に寄りかかって待っていた。



「……行くか」



コクンと頷いて―――

カオルのマンションを後にした。


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