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ご主人様は突然に

第7章 《未定》

~カズ side~



「……そのですね……
身ごもったと彼女は言ってるんですが
……おそらく、俺の子ではない―――」


「ちょっとカズくん!なに言ってるの?
まさか……責任逃れかこの野郎ッ!?」



お義母さんの顔が恐ろしい

……般若のようだ。



「い……や……お義母さん……
そうではなくて―――」


「言い訳すんじゃねぇ!!」


「い、言い訳?!
……ではないというか―――」


「まだ言うかぁぁぁあ!?」



ダンッ!とお義母さんが

テーブルに足を乗せ

メンチを切ってくる。



や……やべぇ……

激怒りモードだ……



「ちょ、ちょっとミカコさ……」


「ああん?!」


「い、いやぁ……」



お義父さんが間に入ってくれようと

してくれたけれど

怒りの矛先を向けられたお義父さんは

目を泳がせて言葉を濁す。



お、お義父さん……

助けてくださいよ……



隣に座ってるマサキさんにも

¨助けて¨と目で訴えかけても

¨スマン¨と首を振られてしまった。



「第一、妻子持ちが不貞行為を
働くなんざ百年はえーんだよ!
自分の下半身もろくに制御できねぇ
やつが言い訳タレてんじゃねぇ。
生まれ変わって出直してきなっ!」



う……うわぁ………



「あの……、ミカコさん?
ちょーっと、言葉遣いのほうが
荒れてらっしゃるんですが……」


「ぁあ?わりぃーかよ。
これが本来のアタシなんだよ!」



強面のお義父さんが

可愛らしいお義母さんを

必死になだめる光景が

なんだか非現実的に思えて

俺は呆然と二人を見ていた。



するとリビングのドアが開く。



「ミーカコさん。
可愛い顔が台無しですよ?」



そう言いながら入ってきたのは

久しぶりに会う¨幼なじみ¨の姿。



「あ?……あら、カオルくん。
やだ、いつの間に来てたの?」



カオルの姿を確認したお義母さんは

一瞬で元に戻る。



えぇぇぇえーーー?!



お義父さんと俺は口をあんぐりとさせ

マサキさんはプッ…と笑った。



このタイミングで笑う根性は

俺にはない。



なんでカオルがここにいるのか

分からないけど……助かった。



カオルを見つめながら

そっと、安堵のため息を漏らした。


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