ご主人様は突然に
第2章 波乱の同窓会
「ねぇ、ナナコ。
アレ……大丈夫なん?」
アヤは左隣に座るマナカと佐藤を
バレないように指差しつつ
コソコソとナナコに話しかける
「アレって……マナカと佐藤?
大丈夫ってなにが?」
ナナコは特に気にしてないのか
二人を見つめたあと首をかしげた
「さっきマナカに嘘ついたやろ。
¨何人か¨に頼まれたって。
でも実際頼んできたの佐藤だけやし
嘘つく意味があったん?」
アヤが追及すると
ナナコはビールをグビッと飲んだ
「ぷはー……そだね。嘘ついた。
だって佐藤さー
卒業してから同窓会するたびに
¨岩熊は?¨って聞いてくるんだよ。
よほどマナカに会いたいってことだし
会う機会くらい作ってあげても
いいかなって思って」
「ああ……」
アヤはなんとなく思い出していた
……そういえば佐藤
いつもマナカのこと見てた気が……。
「まだ好きなの?」
「ハハッ、そう思うよねー。
もしまだ好きなら佐藤一途過ぎ。
まぁマナカはなんだかんだで
カズ一筋だし、セン溺愛してるし
万が一なんてこともないでしょ」
「マナカは大丈夫やとして、
佐藤が狼にならなきゃいいけど。
……まぁ佐藤に限ってそれはナイか」
アヤが佐藤をチラッと見て笑う
佐藤はクラスのムードメーカーで
明るくてモテるタイプだったし
大人になった今
女性に不自由してる風にも見えない
ずっとマナカを好きだったとしても
手を出したりはしないはずだ
「うん。佐藤って爽やかくんだし
心配しなくていいかなって。
それに今度アヤに合コン
セッティングしてくれるってよ?」
「まじでぇっ!?」
アヤが目を見開いて
ビールのグラスをドンッと置く
「シーッ!アヤ声デカいって!!」
「あっ……ごめん」
チラッとアヤが左隣に目を向けると
マナカが首をかしげていた
佐藤は楽しそうに
マナカの携帯を覗き込んでいる
少し距離が近い気はするけど
飲みの席でそれくらい普通か、
と認識してナナコに視線を戻す
「……カオルよりは
佐藤の方がマシかも」
「だね」
「あー彼氏欲しぃー……」
「まぁ、飲みなよ」
アヤは何杯目か分からない
ビールを勢いよく飲み干した。