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ご主人様は突然に

第2章 波乱の同窓会




その子は小柄で

ほんわかした雰囲気の

可愛らしい子で


同じクラスにいた記憶は

頭の隅っこにあった



……あったけども。



なんて名前だっけ?



ついさっき乾杯して

少しだけど言葉を交わしたのに


名前を思い出せずに

その子の顔を凝視していた



「小林?」



それを助けてくれたのは

当たり前というか佐藤くん



さすが幹事様。



「あのっ……
小林さん?どうしたの?」



私が声をかけると

小林さんはキッと私を睨んだ


……ような気がした


それはほんの一瞬で

小林さんは今

満面の笑みを浮かべている



「緒方くんは元気?」


「うん、元気だけど……」


「どうして
元気かどうか分かるの?」


「え?……どういう意味?」



なにを言いたいのか

分からずに首をかしげると


小林さんは口角を上げて

その可愛らしい笑顔を歪ませた



「だって緒方くん

……家を出ちゃったでしょ?」


「……っ……」



なんで。

なんで、知ってるの。



わけが分からずに固まってると



「ちょっと、小林さん?
なにいきなり。変なこと言わないで」



異変に気づいたアヤが

私を庇うように立ち上がった



「変なこと?まぁ確かに
旦那が家を出てくのは変だよね」


「あ?旦那旦那って
なにが言いてぇんだよ?」



アヤが睨みつけても

小林さんは怯まない


それどころか挑発的に

いやしく笑った



なに、この子……。



「ハッキリ言わないと
分からないなら言ってあげる。

……彼、私のとこにいるよ」


「はっ?」


「だから、カズトくんは
私の家にいるって言ってるの!」


「はああ?!」



アヤが大声を出したことで

不穏な雰囲気に

周りが徐々に気づき始める



カズの名前が出てきて

動揺した私はグラスを倒した



「カズがアンタん家にいる?
なんでだよ。嘘ついてんなよっ!?」



ま、まさかっ……。



「嘘じゃないしっ!

私のお腹にはカズトくんの子が
いるんだからっ!!」


「……っ!……」



周囲も静まりかえり

さすがにアヤも絶句していた



アヤが言ってたとおり


相手の女が現れたら

どう考えても¨修羅場¨だ。


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