ご主人様は突然に
第2章 波乱の同窓会
誰もが声を出せない中
顔を強ばらせた佐藤くんが
立ち上がった
「……小林。
お前……、なにを言ってんの?」
「なにって、本当のことだけど。
……カズトくんと私、愛し合ったの」
小林さんは悪びれる様子もなく
胸の下で腕を組んだ
……愛し合った?
なにそれ。
身体が小刻みに震え出した
「……マナカッ……」
ナナコとアヤが私を抱きしめてくれる
「そういうことじゃないだろ?
ここで言うべきことじゃないだろ、
って言ってんの!」
「ここじゃなかったらどこで言うの?
岩熊さんの自宅に行けば良かった?」
「おまっ……!
頭おかしぃんじゃねぇのっ?!」
冷静だった佐藤くんも声を張る
そんな佐藤くんを見つめて
クスッと笑ってから
小林さんは私に向き直る
「嘘じゃないよ。
カズトくんは本当に私のとこいるよ」
「……なっ……んで……っ」
声が上手く出せない
「なに?ハッキリ言ってよ」
小林さんがクスッと笑う
「……なん……で?
なんでっ、カズなの?」
「なんでって。
そりゃーカズトくんが好きだからよ」
「だって……カズは、私の……」
「旦那なのに?なんでって?
……ずっと好きだったの。
高校の時からずっと!!
カズトくんが欲しかったのよっ!!」
「え……」
「何度も告白した。
したけどだめだった。なんでか分かる?
……あんたがいたからよ」
そんなこと一度も……
「そんなこと知らないって顔ね。
まぁあんたに心配かけたくなかった
ってことでしょ。
……カズトくん、私にはぜんぜん
興味ないみたいだったし」
「それじゃ……」
「¨たまたま¨二人になった時に
酔い潰れたカズトくんを介抱して……」
「やだっ!聞きたくないっ!!」
無駄なことだと分かってたけど
首を振って耳に手をあてた
「私たち、結ばれたの。
……危険日だって言ったのに
避妊してくれなくて困ったわ」
「嘘よ!カズはそんな
無責任なことしない!!」
「まぁ過程はどうでもいいのよ。
結果が大事でしょ?」
小林さんはそう言って
自分のお腹を愛しそうに撫でた。