ご主人様は突然に
第2章 波乱の同窓会
これは夢なのかな。
昼間じゃないけど
白昼夢だったりして
でも夢だとしたら
とんでもない悪夢
¨ドッキリ¨ってプラカード持って
カズが現れたりしないかな
なんて、都合が良すぎるのかな。
「産婦人科で診てもらったら
八週目に入ったところだったわ」
小林さんが鞄から
小さな紙を取り出す
それは写真で
妊娠を証明するもの
「カズトくん、真面目よね。
ちゃんと責任取るって言ってくれて
すごく嬉しかった」
やだ。
「でも責任を取ってもらうにも
まずはあんたと離婚してもらわないと
だめなのよね」
やめて。
「浮気して子供作っちゃう旦那なんて
あんたもイヤでしょ?
……早く離婚してよっ!!」
「……るさい……」
「は?聞こえないんだけど?」
小林さんは耳に手をあてて
バカにしたように首をかしげた
それを見て
私の中の¨なにか¨が弾けた
「うるさいっ!!!」
思ったより大きい声が出て
自分でも驚いた
けど抑えるのはもう無理だ
「結果的に子供が出来たのかも
しれないけどっ……
カズは浮気をしても
無責任なことはぜったいにしない!!
子供が出来たのだって
あなたが故意的に避妊させなかった
んじゃないのっ?!
カズは私に謝るばかりだったし
ちゃんと話が出来なきゃ……
私は離婚はしないから!!
あなたがカズから愛されてるって
自信があるなら
とりあえずカズを家に帰して!!
ていうか、妻子持ちに
手ぇ出してんじゃねぇよっ!!!」
はぁ、はぁ、はぁ、
と私は空気を求めて呼吸する
い、言ってやった……!
興奮して高鳴る鼓動を感じながら
小林さんに目を向けると
目も口も大きく開けて
呆然としているようだった
私だって、言う時は言うのよ!
そう思っていると
ブッ……ブハッ!
と笑う音が聞こえた
こんな時に笑うヤツなんて
一人しかいない
「いや~、女って怖いねぇ~」
ふすまに寄りかかって腕を組み
¨ソイツ¨はにやりと笑っていた。