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ご主人様は突然に

第2章 波乱の同窓会




「ホントよく言った!」



カオルの背中をなんとなく

目で追っていると

アヤが興奮ぎみに私を揺さぶった



「私なんて小林に圧倒されて
なにも言えなかったのにさっ。

マナカのそういうとこ大好きっ!」



「あっ、ありっ、がとっ」


「アヤ。揺らしすぎ揺らしすぎ!
マナカ舌噛んじゃうから」


「あっ。ごめんごめん」


「だ、大丈夫っ……」



ナナコに注意されて

アヤが手を離してくれて

私はホッとする



あ……喉カラカラ。



ホッとすると

喉が渇ききってることに気づいた



ホント、慣れないことした。



修羅場なんてドラマの中だけのこと


そう思ってた自分が

まさか経験するとは、と思いながら

テーブルに目を向けると

自分のグラスは倒れていた



そうだ、倒しちゃったんだ。


じゃ……

あ、これ水かな。



とにかく喉を潤したくて

自分とアヤの間に置いてあった

水らしきものが入った

グラスを手に取り、口に含んだ





「いやーそれにしても……
まさか小林が相手の女とはね」


「うん。でもカオルの言うとおり
カズのタイプじゃないよね」



それは私も思ったんだよ。



「だね。小林はおとなしくて
目立つ方じゃなかったし。
でも本性がアレじゃねぇ……
カズが襲われた方なんやない?」


「あーありえる。カズって
押しに弱いとこあるし……」



そうなんだよな。


ホント、大事なところで

押しに弱くてヤになるわ。


ていうか……

これ、水じゃないな。





ナナコとアヤの会話を聞きながら

心の中で相づちをうっていた


グラスの中身を半分ほど飲んでから

水ではないことにやっと気づく





「……岩熊さん?」



声をかけられて顔を向けてみると

心配そうな表情の佐藤くん



「具合悪い?大丈夫?」


「へーき、へーき。
心配すんなって、佐藤!」


「えっ……」


「ちょっ!マナカッ!?」



固まる佐藤くんを押しのけて

ナナコがグラスを奪い取り

匂いを嗅いで目を見開いた



「……しまった……」


「それ……私のだわ」



アヤがグラスを見つめたあと

こちらに目を向けて



「……飲んじゃったのね」



ため息混じりにつぶやいた。


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