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ご主人様は突然に

第2章 波乱の同窓会




ナナコは焦っていた。



マナカが¨梅酒以外は飲めない¨

ってことは知ってたし

成人してから飲みに行く時は

梅酒しか飲ませてなかった



だから¨このマナカ¨を

目の当たりにするのはかなり久々で

どう対処すればいいのか

すっかり忘れていた



チラッと横のアヤを見ると

同様に焦った表情をしている



「ナナコー、それ寄越せよ」



マナカはテーブルに頬杖をつき

私が持つグラスを指差す



どうしよ……



そう思ってるとアヤが

そのグラスを私から奪い取り

飲み干してしまった



「……ごめんマナカ。もうないや。
それにこれ、私の焼酎だからね?」



アヤの言葉に

それもそうか、と納得して

頷いたかと思えば



「じゃー……」



そう言って私の隣にいる

佐藤をロックオン



「佐藤。ビールちょうだい」


「えっ。でも……」



佐藤はマナカの異変に戸惑いながらも

アヤと私に目線を向けてきた


アヤも私も、渡しちゃだめ!

という意味を込めて首を振る


けど……



「私の言うことが、聞けないわけ?」



制止する間もなくマナカは

佐藤に詰め寄って

胸ぐらの代わりに顔を掴む



「いえ……っ、聞きますっ!」



両頬をマナカの両手で包まれ

その上、顔まで近いという状況に

佐藤は抵抗せずに

あっさりとビールを渡した



堕ちたか……。



マナカに好意を寄せてるはずの佐藤に

頬掴みは刺激が強かったようだ


頬を赤く染めて、目を見開いている



「サンキュッ……ぷはぁ~。

佐藤ってホントいいヤツだな。
お礼にチューしてやろうか?」



ビールのグラスをドンッと置いて

マナカが佐藤に顔を近づける



「うえっ?!えっ?チューって
もしかしなくてもっあのチュウッ?!」



佐藤、大混乱



「他にどのチューがあるんだよ。
頬か口、どっちがいい?」



マナカがにやりと笑う



「えっ!そっそりゃ口の方が……っ」



佐藤の本能、溢れ出る



「ハハッ、素直だな。じゃしてやる」



マナカが佐藤のアゴを掴む


もはや、どっちが男か分からない



「マナカ!チューはだめ!」



私の制止を無視して

マナカはくちびるを近づけていった。


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