ご主人様は突然に
第3章 お持ち帰りですか?
「………ホントに?」
「うん。ホント」
「あのカオルが?」
「うん。あのカオルが」
「ウッソだぁ~!!アハハッ」
カオルの¨秘密¨を聞いた私は
とても信じられなくて
思わず笑っていた
「私も最初気づいた時は驚いたよ。
でもそれでカオルのマナカへの
気持ちに気づいたというか……」
アヤが当時を思い出すかのように
天井を仰いで黙り込んだ
「……それはそれとして!
今マナカが安全って保証はないじゃん!
……私カオルに電話してくる!」
「ちょっと、ナナコ……」
アヤの制止を無視して部屋から飛び出し
カオルに電話を発信させる
『……もしもし』
カオルが出た時、アヤが私を追って
部屋から出てきたところだった
「あっカオル?私だけど!」
『……画面見たら分かる。なに?』
「あっ……と、マナカどんな?」
『あーアイツなら……』
マナカの話題になると
カオルの声のトーンが下がった
怒ってる?と思ってると
グゥー、グゥーとイビキが聞こえてきた
ああ、なるほど。
『……暴言吐きまくって疲れたら
俺のベット占領してグッスリ』
「そっか~、寝てるか~ハハハッ……」
『用ってそれだけ?
……もしかして、心配してんの?』
愛想笑いをする私に
カオルの勘のいい¨口撃¨が返ってくる
ドキィッ!としていると
フッと鼻で笑うのが聞こえてきた
『いくら俺でも酔い潰れた
¨人妻¨には手ぇ出さねぇよ。
まー俺も男だからその人妻から
誘われたら分かんねぇけど?』
「はっ?」
『まぁ心配すんなって。じゃあな』
「ちょっ、カオル!」
プーッ、プーッと不通音を聞きながら
振り返るとアヤが首をかしげる
「どしたの。悲愴感漂う顔して」
「マナカ……グッスリ寝てた」
「それなら安心やん」
「でもカオルッ、マナカに誘われたら
襲うかも的なこと言って……痛ッ」
おでこに痛みを感じたと思えば
アヤにデコピンされていた
「落ち着いて。よく考えてみなよ。
マナカがカオルを誘うと思う?」
「あっ………」
それもそうだ。
口を開けて納得していると
アヤがため息を吐いていた。