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ご主人様は突然に

第3章 お持ち帰りですか?




「たぶんナナコ、
カオルにからかわれたんだよ」



アヤが苦笑いしていた



今頃、電話の向こうで

にやついてるかもしれない

カオルの姿を思い浮かべて拳を握る



「……あんの野郎ォーッ!」


「まぁまぁ。
そういうヤツって知っとるやん?」


「そうだけどさ……」



腑に落ちないで携帯を見つめてると



部屋のドアが開き―――



「赤坂……」



思い詰めたような表情の佐藤が

私に近づいてきた



「俺さ……岩熊さんが好きなんだっ!」


「あーうん、知ってる」



続きを聞かずに口を挟むと

佐藤は顔を真っ赤にした



「えっ!……なっ、なんで………」



「なんでって佐藤、分かりやすいし。
……あー……アヤから見た私が
分かりやすいって気持ち、分かったわ」



「アハハッ分かったんだ。
……で、佐藤はどうしたいわけ?」



アヤが佐藤の顔を見て、にやりと笑う



慌てた様子だった佐藤も

アヤの言葉で気を取り直したのか

真剣な眼差しになった



「……岩熊さんに会うまでは
ただ会えたらいいって思ってた。

でも実際会ってみたら相変わらず
岩熊さん可愛くて……

その……緒方と小林と
いろいろあるみたいだけど、
俺が力になりたいって思ったんだ。

だからっ協力して欲しい……です!」



語尾を敬語にしながら佐藤は

私たちに頭を下げる



本気ってことが伝わってきて

断る理由なんてなかった



アヤに目配せすると

¨同意¨の意味で頷いたから

私が佐藤の肩をポンッと叩く



「オッケ。私たちが協力してあげる」


「まじでっ!?ありがと!
うわぁ~俺どうしよっ緊張するっ」



喜びで佐藤は目を見開き

距離を詰めてきて私の肩を揺さぶる



「まじまじ。
……興奮してるところ悪いけど
マナカの連絡先教えるから離れて」


「はいっ!すみません!」



連絡先をよほど知りたかったのか

私が怒ってると思ったのか

再び敬語になっていた



そしていざ連絡先を教えると



「……はぁ……」



と愛しそうに携帯を見つめていて

佐藤は幸せそうで



マナカのことは佐藤に任せたほうが

いいかもしれない、と思っていた。


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