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ご主人様は突然に

第3章 お持ち帰りですか?




「俺……よっぽど信用ねぇんだな」



店を出るとき

¨マナカのことよろしく¨

と言った赤坂から電話がきて驚いた



お互い連絡先を交換はしてたが

こうやって連絡がきたのは初めてで



二次会中だというのに

わざわざ電話をかけてきて

様子を確認してきたことから

疑われてるのはあきらかで



なんか悔しいから

思わせぶりなこと言ってやった



「まぁ、冗談だって分かんだろ」



軽くため息を吐いて

腰掛けたベットを振り返る





つーか、人様のベットで

激しくイビキかいて寝る女なんて

襲う気になんねぇだろ



それに……



「ベージュはねぇな……」





さかのぼること数分前―――



風呂からあがると

なにがどうなったのか

マナカは自分でワンピースを脱いで

床に転がって寝ていた



ワンピースの下には

丈の長いキャミソールを着ていて

下着が丸見えになることはなかったが

不覚にもチラッとは見えるわけで

色がベージュだったわけで



これは事故だ、と思いながら

優しくベットに運んでやった俺を

逆に褒めて欲しいくらいだ



女に飢えてる野郎相手だったら

ソッコーで襲われてんぞ!



嫌がらせのつもりで頬を

指先でグリグリ押してみると

一瞬、イビキが止まった



驚いて指を離すと、イビキ再開



プッ……ククッ……



起こさないように静かに笑う





―――昔からそうだ。



お前はいつも

俺の想像を軽々と越えていく



だから目が離せねぇし

離したくも、ねぇんだ。



お前の手を掴みたかったのに……

俺はいつ、間違えた?





「……マナカ……」



ちっとも変わらない顔や髪型



首すじに鼻を寄せてみれば

香りまでもあの頃のままな気がして

男の本能をくすぐる



……お前を抱きてぇよ。



でも今はまだ抱けない



はぁ……

俺としたことが情けねぇ……





ベットに潜り込み

マナカの身体を抱き寄せる



「お前が¨その気¨になれば……

ったく、早くアイツと別れて
俺のもんになれよ……マナカ……」



温もりを感じながら目を閉じると

あっという間に意識が遠のいていった。


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