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ご主人様は突然に

第4章 佐藤の憂鬱



「っ……マナカからっ!」


「ブフッ!は……早く出て!!」



¨マナカ¨という言葉に反応して

佐藤が焼酎を吹き出した



アヤがハハッと笑ってるのを尻目に

携帯を耳にあてる



「もしもしっ?」


『あ……ナナコ……』



マナカは私の声を聞いて

なんだか安心したようだった



「マナカッ、どした?!」


『あー……カオルん家飛び出して。

……今どこにいるか分かんなくて』


「飛び出した?!」



どういうこと?!

と佐藤が小声でツッコんでくる



「とりあえず、近くになにがある?」


『んー……近く……あっ、セブンがある。
あと……24時間のスーパーも』



セブン……スーパー……

あそこか。



「……分かった。すぐ迎えに行くから
そのセブンで待ってて」


『うん。待ってる』



そう言って電話は切れる





飛び出したって

なんかあったのかな……



チラッと横に目をやると

無駄にウズウズしている佐藤の姿



分かってるよ。

マナカのとこ行きたいんでしょ。



「……鳥勝近くのセブンにいるって。
迎えに行ってきて」


「了解ッ!」



佐藤は酩酊直前だったのなんて

なかったかのように走り出していた





「……青春かよっ」



黙ってたアヤが口を開く



「佐藤、熱すぎ。なんかむかつく」



なぜか、ふて腐れている



「むかつくってなに。
佐藤のこと応援するんでしょ?」


「そんなこと言ってない。
協力はするって同意したけど」


「ひねくれてるなぁ……」


「なんとでも言って。
……佐藤に早く合コン開いてもらお」


「そだね。
同僚とかイイ男いるんじゃない?」


「うわっ出たー。彼氏持ちの余裕発言!」



アヤがタバコを取り出して火をつける



「てか一週間前まで彼氏いたじゃん。
でも自分からフッたんでしょ?」


「だってアイツ重度のマザコンでさー。
あと、身体の相性が最悪やった」


「自然と下ネタぶち込まないでよ」


「仕方ないやん。
男女なんてそんなもんやろ」


「あんたを満足させられる
男なんているのやら……」


「……いないかも。ハハッ」



そう言ってアヤは笑い

吸い始めたばかりのタバコを

灰皿に押しつけた。


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