ご主人様は突然に
第4章 佐藤の憂鬱
重なったくちびるは
柔らかいけど弾力があって
温かくて気持ちよくて
どこか夢心地だった。
もう……幸せ。
¨幸せ死に¨しそう。
夢にまで見た岩熊さんとのキスは
たとえ長い片思いでも
そんなの忘れてしまうほどに
俺の脳内をお花畑にさせた
男がお花畑って……
と鼻で笑われるかもしれないけど
それだけ俺にとって
¨岩熊さんとのキス¨というものは
重要すぎることなんだ。
「……んっ……」
上くちびると歯の間に舌を侵入させると
岩熊さんが声を漏らした
その声は色香をまとっていて
さらに欲情を掻き立てる
閉じていた瞳を開いてみると
目の前の双眼は細められていて
わずかに潤んでいた
え……。
岩熊さんは両手で俺の胸を押して
一応、抵抗してるものの
それは本気の抵抗とは思えなくて
遠慮がちに舌先を口内に侵入させてみると
ビクッと身体を震わせた
……続けて、いいの?
抵抗しないなら続けちゃうよ?
本気で抵抗されたら
すぐやめようと思ってただけに
岩熊さんの反応は俺に喜びと興奮を誘う
続けたらたぶん、止められないよ……?
「……んんっ!」
引っ込み思案な舌を誘うように
舌先でなぞってみせると
岩熊さんは大きめな声を漏らして
俺の服をギュッと掴んだ
そして潤みきった瞳で俺を見上げる
もうっ……だめだ……っ!
¨公園のベンチでなんて¨
常識なんか吹き飛ばして
ベンチに押し倒し、舌を絡ませる
「んっ……んぅ……」
クチュッと唾液が混ざり合う
いらやしい音の合間に
岩熊さんの可愛い声が重なり
俺の興奮は止まらない
もっと可愛いとこが見たい……
そう思うとすぐ
手のひらを太ももへと這わせた
「ん“っ!?」
下半身を触られるのには
さすがに抵抗があるようで
必死に首を横に振って
¨そこはだめ¨と訴えてくる
そうだよな……
こんなの嫌だよな……。
一瞬、理性が顔を出したが
俺の脳内は
¨チャンスを逃すな!¨
とゴリ押ししてきて
簡単に欲望が勝利して
手をすべらし、ショーツ越しに
これまた夢に見た秘部へと触れた。