ご主人様は突然に
第4章 佐藤の憂鬱
さっき、雇い主とメイド的な?
とか言ってたよな……
まさか、コスプレさせて
あんなことや、こんなことを……?
やらしいことを想像しながら
ゴクッと喉を鳴らしていると
落合がハハッと笑う。
「卑猥なこと想像してんなよ?」
「いや、想像するだろ普通」
「まぁ確かにな。でも安心しろよ。
メイドとは言ったけど
普通に家事手伝いしてもらうだけ」
「家事手伝い?!
また家に連れ込む気かよ!」
「待て。連れ込むってなんだ。
佐藤って意外と失礼なヤツだな」
落合は心外だ、
とでも言いそうな顔をする
失礼なヤツとか
お前にだけは言われたくねぇ……
「つーか、離婚するまでは
手ぇ出したりしねぇよ」
「ハッ、どーだか。
じゃ、あのキスマークはなんだよ?」
「あれは契約のしるしという名の
お駄賃ってところだな」
「はあ?」
「俺の中では手ぇ出したうちに
入んないってこと」
「はあぁぁぁあ?」
どんな思考してんだコイツ!
目を見開いていると
落合はにこっと笑う
落合が微笑むなんて
嫌な予感の前触れでしかない
「まーまー、興奮すんなって。
まじで突っ込んだりしねぇから」
「当たり前だ!
突っ込ませてたまるかよ!」
「できれば、突っ込みてぇだろ?」
「そ、そりゃ………じゃなくて!
俺らなんの話してんだ!」
突っ込むだの
ただヤリてぇだけの男と
いっしょにすんじゃねぇよ!
「俺はっ……身体だけじゃなくて
岩熊さんの心も欲しいんだよっ」
「じゃー離婚には賛成なんだな?」
「お……おう。
緒方に岩熊さんはもったいない」
俺と再婚してくれれば
岩熊さんも息子のセンくんも
幸せにする自信がある
泣かせるようなことはしない
「それは俺も同意見だ。
だから今がチャンスなんだよ」
「チャンス……」
「俺はこれから二人が
離婚に進むように動くつもりだ。
だから協力しろ」
「協力ってなにを……」
「なに、簡単なことだ。
俺と佐藤がそれぞれ動いて
マナカの心をカズから奪えばいい。
見守ってるだけじゃ
カズの気持ちが戻るかもしんねぇし。
……どうする?協力するか?」