ご主人様は突然に
第5章 まさかの許嫁!?
ジリジリと後ずさる私の腕を
強引に引き寄せて
カオルは私を抱え上げた。
「ちょっ!やだっ、下ろして!!」
カオルの肩の上でジタバタしてると
太ももの裏を撫でられて鳥肌が立った
「ぎゃっ!!変態ッ!!」
「お前の実家で可愛がってやる」
「ひっ!ご、ごめん、私が悪かった!
ゆっ、許してっ!」
カオルは無言で私の実家の方へ
足を進めていく。
ほ……本気なの?!
「カオル!実家だけはやめて!
一生のお願いだからっ!!」
「お前次第だな」
「えっ……」
「俺の言うこと聞くか?」
「うっ……できることなら……」
曖昧に返事をすると
太ももの裏を再び撫でられ
手のひらがさらに上に移動していく。
いやいやいや、際どすぎるって!
このままじゃ……お尻触られる!!
「聞きますっ聞きますっ!
だからそれやめて!」
「言ったな?じゃ契約成立な」
「契約……?」
「俺ん家に毎日来ることって
さっき話したろ。分かったか?」
「それは……」
素直に頷かないでいると
ガッとお尻を掴まれた
「なっ……!?」
「佐藤がしたみたいに
ナカに指突っ込んでやろうか?」
「ひぃっ!わ、分かったから!
毎日行くから……もう下ろして……」
チラホラと通行人がいる中で
いい大人が肩に担がれてるなんて
恥でしかなくて
両手で顔を隠していた。
どうか、知り合いにだけは
見られてませんように……
「分かればいいんだよ。ほら、到着」
「……へ?」
トンッと下ろされて振り返ると
いつの間にか実家の目の前で
カオルは普通に門を開けて
玄関の方へスタスタと歩いていく
えーーー?!
自分の実家のように振る舞うカオルに
なにも言えないでいると
玄関前で足を止めたカオルが振り返る
「おい、カギ出せ。
早くしねぇとチャイム連打すっぞ」
「えっ、待ってよ。……はい、カギ」
焦って鍵を取り出して渡すと
カオルは迷うことなく鍵を開けて
玄関のドアを開いた
そんなカオルにも驚いたけど
私をさらに驚かせたのは
「朝帰りか、クソ娘」
玄関に座っていた父の姿だった。