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ご主人様は突然に

第5章 まさかの許嫁!?




なんで玄関にいるわけ?!



携帯で時間を確認すると

午前7:00になったばかり。



まだ朝早いんだけど!



うろたえる私を見て

父はカオルに視線を移す



「カオル。
お前が送ってきてくれたのか」


「うん、マナカ酔ってたし。
てか、トムさん早起きだね。
どっか出かけるの?」



カオルが馴れ馴れしく応える



昔からカオルは

私の父に対してタメグチで



父は父でカオルから

タメグチで話されても怒らない。



物心ついた頃からこの光景が

おかしいということに気づいたけど

当人同士がいいなら問題はない。



「おー散歩でも行こうと思ってな。
おれも健康を意識するお年頃に
なったわけよ」



お年頃って……



ああ、それで

ジャージー素材の服着てるのか。



「そうやって意識してるから
ウチの親父より若く見えるんだね」



カオルが無駄にヨイショする



クソ親父が調子のるから

ヨイショしなくていいのに。



「ハッハッハッ、そうだろ?
テツローもまだまだ若いけど
俺には負けるってモンよ!」



……って、もう遅いな。



父は強面をクシャッと崩して

豪快に笑っている。



¨テツロー¨ってのは

カオルのお父さんのことだ。



「親父はトムさんに勝てっこないよ。
あ、朝メシ食べてっていい?」


「アンタ、なに言っ―――」


「おー、食ってけ食ってけ。
母さーん!カオルが来てっから
朝メシ食べさせてやれー」


「ええっ!!」



父はヨイショされて上機嫌で

口を挟んでも意味がないようだ



カオルに目をやると

にやりと笑っている。



まじで、人ん家で

朝ご飯にありつくつもり?!



帰りなさいよ!と目で訴えてると

リビングから母が顔を出した



「あらー?ホントにカオルくんだ」


「お邪魔してます。ミカコさん」



父とは逆で、カオルは母には

しっかり敬語を遣う。



岩熊家の実質のボスが

母だと知ってるからだろう



そういうところに

カオルは抜かりない。



「フフ、いらっしゃい。
二週間くらいぶりかしら?」


「はい。それくらいですね」



にこにこと微笑み合う二人。



「はっ?」



おかしな会話が……

聞こえたんですが?


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