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ご主人様は突然に

第5章 まさかの許嫁!?




部屋に入るとセンは

アトのベットでグッスリだった。



サラサラの髪が乱れて

バサバサのまつげがわずかに揺れて

小さな胸が上下している。



「じゃ俺、下に行ってるから」


「あ、うん。ありがとね」



お礼を言うとアトは微笑んで

部屋のドアを閉めた。



ベットに近づき

腰かけてセンの髪を撫でると

ぅん……と小さくセンが声を出した





セン……

ママ、どうしたらいいのかな?



パパは本当に私たちを捨てて

あの人といっしょになるのかな……



カオルや佐藤くんとのことは

もちろんだけど

小林さんのことも忘れてない。



「……グスッ……」



センの顔を見ると気が緩んだのか

目頭が熱くなり涙が溜まる



カズのことは嫌いじゃないし

家族として好きだけど

浮気したのが本当なら許せない



でももし浮気じゃなかったら……?



小林さんの言葉だけじゃ

本当のことは分からないし

私たちにはやっぱり

話し合いが必要だ。





「はぁ………」



ため息しか出ない中で

センのスベスベの頬を撫でると

小さな身体が身じろぎ

まぶたが少しずつ開いていく



「……ぅ……ママぁ……?」



クリクリおめめとご対面



「セン、おはよ」


「おはよ!」



涙をこらえて微笑みかけると

ガバッと起き上がり抱きついてきた



無償の愛を向けられて

幸せを感じていると



「ママ、いつもとちがう」



胸元に顔を埋めていたセンが

顔を上げてポツリとつぶやいた。



「ん?違うって?」


「においがちがうよ。なんで?」



匂いが違う?

なんでって………あっ!



思い当たる節はあるけど

センに話せるわけがない



「ん~なんでだろうね?
ママにも分かんないや」


「ふぅ~ん。あっ!ねぇママ!
きのうマーくんとおふろはいってね、
きょうはアトくんとはいるんだ!」


「そっかぁ。楽しみだね」


「うん!」


「さ、もう朝ご飯の時間だよ。
歯みがきとかしておいで」


「はぁ~い!」



センが階段を下りていくのを

見送ってから

着替えるために自分の部屋に入った。


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