ご主人様は突然に
第5章 まさかの許嫁!?
着替えを終えてリビングに戻ると
みんな椅子に座って談笑していた。
もちろんカオルもそこに混ざってて
親しげな雰囲気が異様すぎる。
「ママー!
おなかすいたよーはやくー!」
「ごめんごめん」
センに急かされて椅子に座ると
テーブルに並べられた朝食が目に入る
白米に味噌汁、焼き魚に玉子焼き
これまではいつもどおりだけど
サラダがいつものと違う。
「さ、食べましょ。いただきます」
母の言葉に続いて
センもアトもサラダに手をつける。
「あら!美味しい」
「ホントだ!
これ、おばーちゃんがつくったの?」
「違うのよ。
カオルくんが作ってくれたのよ」
やっぱり、そうか。
なんとなく納得していると
センが目を輝かせて
カオルに顔を向けた。
「カオルすごいね!
オトコなのにりょうりできるんだっ」
「ああ、これは混ぜただけだから
料理とは言えないと思うけど」
「でもパパッとサラダ作れるなんて
イイと思うわよ~。
ウチのオトコどもは全然だめだから」
母の言葉にアトが視線を逸らした。
確かに父もお兄ちゃんもアトも
もちろんカズも
キッチンに入るのは
冷蔵庫を触る時くらいだしね~
……じゃなくて!
セン、カオルのこと名前で
しかも呼び捨てにしなかった?!
なんで、みんなツッコまないの!?
「あ、でも最近マサキも
キッチン立つようになったって」
「マサキはナナコちゃんのために
¨花婿¨修行中なんだって。
でも私のためには作ってくんないのよ」
「じゃ、マサキの代わりに
俺が作ってあげましょうか?」
「ぐっ………ゴホッ、ゴホゴホ……」
カオルの発言に驚き
ミニトマトを丸飲みしてしまった
詰まりはしなかったけど
食道がなんとなく圧迫されてるようで
変な感じがしてせき込む。
母もカオルもそんな私を
チラッと見ただけですぐに視線を戻す。
「そんなこと言ってくれるの
カオルくんだけよ。はぁ。
……セン、カオルくんみたいな
イイオトコになるのよ!」
いやいや、なに言って……
「うん!カオルみたいになる!」
センが満面の笑みで頷いた。
それだけは絶対、やーめーてー!!!