ご主人様は突然に
第5章 まさかの許嫁!?
「俺、そんなイイオトコじゃ……」
私の時とは違っていいヤツぶって
母の言葉を否定するカオルが
すっごく、むかつく。
そんなカオルの本性を
見抜けないような母ではないけど
母は昔からカオルに甘い
自分の息子のように可愛がり
時には息子よりもカオルに甘々で
意味が分からないけど
とにかくカオルのことがお気に入り。
「カオルくん、気が早いかもだけど
もしもの時は婿に来ない?」
「お、お母さん!?」
「俺としては全然いいんですけどね」
「ホントー!?」
カオルが微笑んでそう言うもんだから
母のテンションが上がった。
「お母さん、変なこと言わないでよ!
アンタも!全然いいってなに。
早く食べて帰りなさいよっ!!」
椅子から立ち上がって叫ぶ私を見て
母がため息を吐いた。
「もしもの時はって言ったでしょ。
なに興奮してるの。うるさいわよ」
悪いの私ぃぃぃい?!
「ミカコさんの言うとおり。
それに食事中に立ち上がるなんて
行儀悪いぞマナカ。
センがマネしたらどうすんだ」
「う“………」
「おばーちゃんもカオルも
ママをいじめないでっ!!」
言葉に詰まった私を見たセンが
庇ってくれて幸せ……
を感じる暇もないまま
カオルがにやりと笑う。
「セン。いじめてるんじゃないよ。
これは躾ね。シ・ツ・ケ」
「しつけ?なにそれ?」
「あーほら、ママが悪いことを
しないように教えてやること。
センだって悪いことしたら
ママから叱られたりするだろ?
それといっしょだよ」
「そうなんだ!」
「センは物分かりよくていい子だ。
ママとは大違い」
「なっ!?」
にやつきながらセンの頭を撫でる
カオルの手をパシッとはねのけると
「痛ッ!!」
カオルが大げさに痛がる。
おい!痛くないだろ!!
「ママ!たたいちゃだめだよ!」
「あっ……」
センの責める言葉に
ピクッと身体が反応した。
しまった……
センの前でこんなこと……
「わるいことしたら
あやまらないとだめだよ!」
うぅ……
コイツにだけは謝りたくないのに。
私のプライドなんて
センの前ではないようなものだ。