ご主人様は突然に
第5章 まさかの許嫁!?
「マナカには家事手伝いってことで
掃除から食事の準備まで
簡単な仕事をお願いしようと思って。
マナカにはもう話してあります。
……だよな?」
カオルは母とアトに説明したあと
同意を求めるため私に顔を向けた。
確かに聞いたけど、
脅迫まがいな雰囲気だったよね。
そんな説明の仕方じゃ
嫌がらずに同意したみたいじゃん
ジロッと一瞬カオルを睨んで
とりあえず黙って頷いておいた。
そんな私を見て
カオルは母に顔を向ける。
「普通にパートで働くよりは
時間や曜日にも融通がきくし
センのことを優先できると思います。
ミカコさんやトムさんにも一応
断りを入れてから判断しようと
思ったんですけど……」
「うん、いいわよ」
「えっ」
カオルもさすがに反対されると
思ってたのかもしれない
驚いた表情で母を見ていた。
「なに驚いてんの。嘘なの?」
「いえ、嘘じゃないです」
「じゃーウチの子よろしくね。
いつから?」
「それはまだ決めてないです。
マナカにも都合があると思って」
「特にナイわよ。
ウチにいても暇だしコキ使ってやって」
「ちょっとお母さんっ!
適当すぎじゃない?!」
我慢できなくなって口を挟むと
母は少し眉根を寄せる。
「アンタもタダでウチにいるなんて
甘い考えじゃないわよね?
もちろん、生活費は貰うからね」
「え……」
そんな、殺生なぁ……
「安心しなさい。
今月分は貰わないから。
来月からよろしくね」
今月分はって、
あと数日で今月終わるしぃぃぃ!!
「あの……ミカコさん。
トムさんに話さずに決めてい……」
「いいのよ、あの人は。
なんだかんだで私に相談してきて
いつも決めるのは私なんだし。
……アンタたちも知ってるでしょ」
母は私やアトに目配せをして
私たちが頷くと
センの頭を撫で始めた。
「それに私としては
センといっしょにいれて嬉しいし
協力はできるだけするつもり。
それにアンタは昔から
親に頼らない子だったからね。
甘えるのも親孝行ってモンよ!」
「あ、うん……」
ニカッと笑う母の笑顔を見ながら
肩から力が抜けるのを感じていた。