ご主人様は突然に
第5章 まさかの許嫁!?
「カオルくんって子供好きよね」
「え?あー……」
確かにカオルは嫌な顔をせず
大人が口にするには躊躇するセリフを
恥ずかしげもなく口にしている。
「……てか、なんで
プリキュア知ってんのよ。キモい」
「キモいってアンタ、
そんなことセンの前で言わないでよ」
「分かってるよ。
てか、気になってることあるんだけど」
「んー?」
「さっきカオルが来た時
二週間ぶりとか言ってたでしょ。
あれ、どういう意味?」
「どういうって、そのままよ。
カオルくんたまに遊びに来てるから」
「は?遊びに来てる?」
眉をしかめると母はハハッと笑う。
「アンタが家を出てからも定期的に
お父さんの相手してくれてんのよ。
はい、コーヒー」
「ん、ありがと。
でもお母さんの相手ならまだしも
なんでクソ親父の相手なんか……
てか、聞いてないし」
淹れてくれたコーヒーをすすると
母も椅子に腰かけて小声で話しだす。
「言ってないからね。
でもカオルくんね、私じゃなくて
実はお父さんになついてるのよ」
「え?あー、確かにタメグチだし?」
「ハハッ、そうね。
それにマサキもアトもお父さんとは
ツルむタイプじゃないでしょ。
その点、カオルくんはあんな感じで
お父さんのこと気にかけてくれてるし」
ツルむタイプって……
確かにお兄ちゃんもアトも
クソ親父のこと嫌ってはないけど
進んで相手をするのは見たことない。
「んー、それはそうだけど。
それとどう関係あるわけ?」
「だからお父さんはツルんでくれる
カオルくんを気に入ったってことよ。
自分の息子たちよりも、ね」
「そんな単純な……」
「単純な単細胞がお父さんでしょ」
……そこまで言うか、母よ。
間違ってはないけども。
「ああ見えて寂しがり屋だから
子供たちに相手されなくて
いじけてる時にカオルくんに
優しくされてコロッとやられたのよ」
「やられたって……」
傷心中の女子かって!
カオルなら、
男でも落とせるかもしれないけど
相手が自分の親ってのは正直キツい。
「お父さん、カオルくんのこと
大好きだからね。
義理の息子にしたかったみたいよ~」
「は?」