ご主人様は突然に
第5章 まさかの許嫁!?
「今だから言うけどね、
お父さん昔からアンタの結婚相手は
カオルくんが良かったみたいよ」
「なにそれ」
「テツロウさんと約束してたみたい。
カオルくんとは仲良いし
気に入ってるから決めたんだろうけど」
「約束?決めた?
ちょっと話が読めないんだけど……」
「簡単に言えば、アンタとカオルくんは
許嫁同士だったってことよ」
「許嫁って……」
しばしの沈黙。
あまりにもピンとこない単語に
脳内が凍ったように思考の邪魔をする。
許嫁って……なんだっけ。
頭が混乱すると簡単な単語の意味さえ
出てこないこともある。
続きを言わない私を見て
母は苦笑いする。
「……親同士が勝手に決めた
婚約者同士ってことでしょ」
「こ、婚約者ぁぁあ?!」
「だからカズくんとの結婚には
反対してたのよ、お父さん」
「えぇぇー……」
ああ、そういうことか。
最後の最後まで
カズとの結婚を反対してた裏には
こんな理由があったのか。
「すっごい、むかつくわー……」
まさか数年間の謎が
こんなカタチで判明するとは
思わなかっただけに
ため息が止まらない。
「はぁ………それは分かった。
とりあえず、分かった。
で、もう一つ聞きたいんだけど……」
「もう一つ?」
小首をかしげる母を尻目に
いまだにプリキュアごっこをする
センとカオルに目を向ける。
センは自慢の愛息子だけど
一つだけ欠点があるとすれば
極度の人見知りをすることで
センとカオルを対面させたのは
私が知る限り、今日が初めてだ。
なのに、なにこれ。
人見知りするどころか
¨カオル¨って呼び捨てにして
可愛い笑顔をさらして
楽しそうに遊んでるではないか。
な、ぜ!!?
「センがアイツに対して人見知りせず
好き好きオーラを出してるのは
なんで?ねぇ、なんで?!」
「それはセンに聞きなさいよ」
「私、センとアイツを会わせたこと
一度もないはずなんだけどっ?!」
「それも言ってなかった?
センとカオルくん、初対面じゃないわよ」
やっぱり……。
ほぼ分かってたけど
ハッキリ言われると衝撃が強い。
なんだか頭がクラクラした。