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ご主人様は突然に

第1章 戦力外通告!?




「まったく、アナタって人は!
いい歳して良し悪しの区別もつかないの?」


「ハハハハハ」


「笑うとこじゃない!!」


「……すまん……」



余計なことをロン毛がセンに話した、

と知った母が、ロン毛を絶賛説教中。



「アレはもう七年以上も前のことだし
カズくんも反省していいパパになったし
時効でしょ。もう掘り返さないこと!」


「はぁ~い」


「なにその返事はっ!」



間延びした返事をするロン毛を

キッと睨む母を見つめながら

話を切り出すタイミングを窺っていた



母、ロン毛、私の三人はリビング、

センは弟のアトと隣の部屋にいる



センは弟のことが大好きだから

隣の部屋からはしばらく出てこないはず



ということは、今がチャンス。



「……ねぇ、話があるの」



声をかけると

二人とも、ん?と首をかしげた



「カズと離婚するかもしれない。
ていうか、あいつまた浮気した」



母はこれでもかというほど目を見開き

ロン毛は髪をクルクルと指に絡める



……女子かっ。



「あいつ昨日、離婚届渡してきてさ。
話し合う前に一方的に別れてくれって。

んで、あいつ家を出て行ったんだけど
電話にも出なくて連絡取れないんだよね」


「はあぁぁぁあん?!」



母が爆発した。

ひとまず逃げようかな。



「母さん、落ち着いてっ」


「これが落ち着いてられますかっ。
大問題ですよ、大問題!」



ロン毛が母をなだめるけど

母はかなり興奮してるのか

フンッ、と鼻息が荒くなっている



ていうか、もっと重要事項が。



「しかも、相手の女が妊娠したって」


「なにぃ!?
カズくん中出し―――痛ッ!」


「みなまで言うなっクソエロ親父!」


「やだ~殴るなんてヒドイよ~」



母がロン毛の頭にゲンコツを落とすと

ロン毛はくちびるを尖らせていた



気持ち悪っ!



ていうか、クソエロ親父て。

……血は争えないな。



「……で?あんたはどうしたいの?」



冷静さを取り戻した母が首をかしげる



「んー………よく分かんない」



愛し合って結婚したのに

今は旦那への気持ちが

よく分からない現実にめまいがした。


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