ご主人様は突然に
第6章 家事手伝い、スタート
「うわっ!……な……!」
なんで、カオルがここに?!
驚いて思いっきり後ずさると
カオルはさらに顔をしかめ腕を組む。
「うわっ、じゃねぇよ。
俺の電話無視しやがって」
「え?電話?」
「朝から何度もかけてるだろうが。
そんなに出たくなかったか?」
「いや……マナーにしてるから
気づかなかった。なんか用?」
特に考えずに発したその言葉に
カオルは、ああ?と低い声を出す。
「なんか用、だあ?
お前今日から俺ん家くる約束だろ。
なんでこんなとこいんだよ」
「はあ?ご飯くらい食べるでしょ!
てか、時間を決めなかったのは
アンタでしょうが!」
「だから決めようと思って
電話したんだよ!なのに出ねぇし。
なんのための携帯だ!」
「気づかないことだってあるし!
てか、なんで私がここにいるって
知ってるわけ?!」
「……ミカコさんに聞いた」
お母さんめ、余計なことを。
私のプライバシー
ダダ漏れなんですけど。
「聞いたとしても普通来ないし!
アンタ、なんなわけ?!」
「なにって―――」
「あれ?カオル?」
カオルがなにか言おうとするのを
遮って、アヤ登場。
グラスを手にしているから
飲み物を注ぎにきたんだろう。
「なに、一人ファミレス?」
「違う。
コイツを迎えにきたんだよ」
「……誰も頼んでないし」
私の小言にチッと舌打ちする
カオルの肩をアヤがポンと叩く。
「カオル。お迎えはいいけど
私たちさっき注文したばかりなんよ。
そろそろ来ると思うけん
食べ終わるまで待っててくんない?」
「……あと何分?」
「早くて三十分、遅くて一時間。
私もナナコも食べたら仕事戻るし
それくらい待てるでしょ」
「ああ。じゃ……車で待ってる」
私の頭をクシャッと触ってから
カオルはファミレスを出て行く。
なんでわざわざ頭触るのよ
でも意外とあっさりだったな……
無理矢理、連行されるかも
と内心ビクビクしてた私は
カオルの姿が見えなくなってから
ため息を吐いた。