ご主人様は突然に
第6章 家事手伝い、スタート
中学生になると
カオルは急激に成長した。
身長が伸びて身体も大きくなり
顔つきも男らしくなっていって
ずっとそばにいたなら
そんなに驚かなかっただろうけど
たまにしか会わない私からすれば
変貌ぶりは明らかで
どんどんカッコよくなっていくカオルに
なんとなく距離感を感じていた。
カオルはそんな私の態度なんて気にせず
ウチに来れば私の隣にいたけど
カオルを異性として意識し始めた私は
少しずつ避けるようになっていた。
そして中二の終わりには
カオルはウチに来なくなった。
テツロウさんだけは定期的に
ウチに来てたけど
テツロウさんとも顔を合わせずらくて
なにかと用事を作っては
鉢合わせしないようにしていた。
きっとカオルとはもう
会うことはないと思ってた私は
高校の入学式の日
同じクラスにカオルを見つけて
心底、驚いた。
そして―――
カオルの幼なじみである
カズと出会った。
出会った頃のカズは
口数も少なくクールな雰囲気で
かと思えば、なにもないところで
派手にこけたりする人で
とにかく目が離せなかった。
一目惚れだったと思う。
逆にカオルは優しさを
どこかに捨ててきたのか
意地悪なヤツになってて
私がカズに近づくのを嫌がり
カズと二人きりになろうとしても
必ず居場所を探し当てられて
邪魔ばかりされた。
だから大抵は三人いっしょだった。
ホント、いい迷惑。
カズはカオルと幼なじみだから
嫌がってなかったけど……。
そして高二の始めに
私の猛アタックが報われて
カズと交際スタート。
交際といってもカズは奥手で
私にほとんど触れようとしなかった
手を繋ぐくらいはしてくれたけど
キスはしてくれなくて
カズは私のことを本当に好きなのか?
私はずっと不安だった。
私が押して押して押しまくったから
その勢いに負けたんじゃ?
そもそも私と交際中という
意識すらないんじゃ?
ネガティブな思考で脳内が埋まり
不安や苛立ちが最高潮になった時
私は¨あやまち¨を犯した。