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「うらやま」

第2章 ヨシくんの記憶

アパートの住人にもそんな浅黒い肌の人がいた


今でこそ日焼けサロンなんてあるけど、当時は地黒の人ってたくさん居てたような気がする

だからあまり気にならなかった


もしかしたらそこの田舎の人に多いのかもしれない


ボクの両親は仕事の関係でこちらに住んでいたので元からの土地の人ではなかった


裏山の奥の方まではさすがに行ったこと無かったんだけど、もしかしたら小さな集落とかあるのかもしれない

というのも、その立ってた男性の服装があまりにもよれよれですさまじく着回されてる感じだった

もしかしたら農作業とかしてる人だったのかもしれない


ボクは気にせずタックルケースから次のルアーを選ぼうとしていたら、いつの間にか男性がすごい近くに来ていて驚いた!

そしてやたらカン高い声で話しかけられた


「ルアーよりワームのほうがイイカモ!」

「え・・・? あぁ、そぅなんですか?」

ワームというのはシリコンゴムで出来たミミズを模した擬似餌だ


そのときにハッキリと男性の顔を見て、驚いた


「・・・・!?」


小さい頃に会ったことがある!


ヨシくんだ!


小学1年生のとき、アキちゃんと裏山で遊んでたときに知り合ったちょっと歳上の男の子、それがヨシくんだ


ヨシくんは町の子供ではなく裏山の奥の集落に住んでいた子だ

ちょっと変わった雰囲気の子で、なんとなく話し方がおかしかった

方言みたいになまっている感じ

ボクとアキちゃんがミニカーやウルトラ怪獣の人形で遊んでたとき、ヨシくんは枝や木を使ってピストルだったり、飛行機だったりを工作して遊ぶ

ちょっとした野性児みたいな子だった


ちょっと眼がギョロっとして、すごい地肌の黒い子だったのだ


ヨシくんはボクには気付いてない様子だ


たぶん5~6年ぶりの再会
おそらくヨシくんはハタチぐらいなんじゃないかな


今までまったく存在を忘れていた!


しょっちゅう遊んでたわけじゃないし、たまたま裏山で遊んでたときに遭遇するお兄ちゃん程度の仲だったし!


それに何となく話し方や見た目が「異質」だったので、子供心に警戒心があったのかもしれない


野性児のヨシくんと遊ぶときはちょっと危ない遊びもしていた


高い崖からジャンプしたり、沢にまたがった倒木を渡ったり


あれ、なんかいろいろ思い出してきたぞ

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