テキストサイズ

「うらやま」

第2章 ヨシくんの記憶

裏山は自転車では入れない


友達みんな「ブラックバス釣りイコール自転車」のイメージがあった


きっと誰も行ってないだろう!


さらに中学校の半分の生徒は違う校区だったわけだから、あまり裏山の地理を知らないはずだ


山には入ったことぐらいはあるかもしれないけど、ボクやアキちゃんのように毎日遊んでたわけじゃないから、どのあたりに池があるのか知らないだろう!



ボクは数年ぶりに裏山に入っていった!



フェンスの穴をくぐって、ひとつめの丘をこえる


そこは少し広がった場所だ


小さいときはここで野球ごっこやサッカーごっこをした


こんなに小さい場所だったっけ?


広場の端に行くと傾斜のきつい坂がある


坂と崖の真ん中みたいな場所


いちど降り始めると歩みが止まらなくなって、そのまま駆け出してしまう


下まで降りると確かグランドキャニオンみたいな地面の裂け目があったハズ


そこは何人かが生き埋めになった場所


だから土の上を歩いてはいけない


土はすぐに崩れてしまう


ぼくらは草を踏みつけて歩いてた


かわいそうなこどもは知らずに土の箇所を歩いてたんだろうな


だんだん思い出してきた!



裂け目を過ぎると道は二股に分かれる


右は底無し沼


ボクは左の道を選んだ



釣りが目的だけど底無し沼はなんとなくヤバイ場所のイメージ


沼ぜんたいを木々が覆っていて真っ暗な沼なんだ


左手の道はだんだん山を上がるようになる



すり鉢状になっていて坂を登りきると反対側に野球ごっこの広場が見える



実はこっちのほうがもっと大きい広場になっていて、ここまで来れる者しか遊べない空間だ


でも昔と違って広場は背丈の高い草だらけ


中学生のボクでも腰ぐらいまである


この広場も越えると今度は岩だらけの場所


ここは登りがつづく


小さいときはこの場所でいつも引き返してた


広場と違って岩場は昔のころとあまり変わっていない



ここは水の無い沢みたいになっていて、両端が森になっていて岩場だけがまっすぐ一本道になっている


もしかしたら遠い昔は川だったのかもしれない


ここから先も何回か行ったことあるハズだけどあまり覚えていない


たしか洞穴があったんだったかな


秘密基地って呼んでたのはここだったっけ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ