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君がいるから

第3章 お互いの気持ち

智は何も聞く事なく、あっさりと了解した。

あまり深く考えないのが智なんだよね。

…それとも、俺にもそこまで興味ない?

いかんいかん。

まだ何も伝えてないのに

ネガティブになってどうする。

だけど

多分今夜は今までの人生で一番

緊張すると思う。

これまでだって

告白した事もされた事も

人並みにあるけど

上手くいかなくてもいっか、なんて

どこか気楽に構えてた。

でも智が相手になった途端

上手くいかない事を物凄く恐れている自分がいる。


本当、こういう時は

雅紀のポジティブパワーが欲しくなるよ…




終業時間になって

不安な気持ちもあるくせに

智には早く会いたくて

俺は挨拶もそこそこにフロアを飛び出した。

エレベーターに乗ってすぐに

ちょうど智からメールが入る。

それが何だか嬉しくて、すぐに返信した。

「よし!」

覚悟、決めますか!





智の会社より、俺の会社の方が待ち合わせの店には近い。

だから先に着いた俺は、いつものようにカウンターにいた潤に

「…振られたら、慰めてね」

ちょっとおどけてみせた。

「なに?告白すんの?誰に?」

すぐに潤が食い付く。

「引かない?」

「…もしかして、智くん?」

うわ。あっさりと当てやがった。

思わず赤面した俺に

「見てりゃ分かるっしょ。…まあ、本人は分かってないだろうけど」

潤が苦笑した。

そうか。見る人が見たら、俺の気持ちはバレバレなのか

「…振られないと思うよ」

イタズラっぽく潤がウインクする。

「サンキュ、潤」

少し緊張が溶けた…かな

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