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君がいるから

第3章 お互いの気持ち

程なくして

智の姿が見えた。

こっちに来る前に、カウンターでビールを受け取っている。

智が振り向いた時

潤は俺に向かって親指を立てて見せた。

智に分からないように

小さく頷いて見せたら、潤が少し笑った。




まずはお疲れ様の乾杯。

やっぱり話題になるのは雅紀達の事。

話を聞いているようで

…俺は告白のタイミングを伺っていた。


「雅紀抜きって…珍しいね」

だけど、その「時」は智が作ってくれた。

「…あ、うん。今日は智に話が合って」

「そうなんだ。どしたの?」

「んー…あの、さ」

落ち着け俺。

思わずグイっと残りのビールを飲み干した。

1つ、息を吐く。

「雅紀に触発されたわけじゃないけど」

「うん」

「当たって砕けたくもないんだけど」

「うん…」

智がじっと俺を見つめる。

「俺、智が好きだ」

「うん。知ってる」

俺の、一世一代の告白に

あっさりと答える智は、「何を今さら」とふにゃっと笑っていた。

「え?」

「え?」

あまりにあっさりしすぎていて、思わず聞き返すと

智もまた

同じように聞き返す。

「智…?」

まさかの両思い?!と喜ぼうとしたら

「友達」としての好きと勘違いしてた。

…だろうね。

何だか力が抜けた。

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