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君がいるから

第4章 君と迎える朝

智の顔は、本当に弱りきっていて

おでこに手を当てて、その熱さに驚いた。

「熱、ずっと下がんないの?」

「多分…測ってないけど」

「水分は?」

「……」

取れてないな。

でも、まずはこの場所から移動させる方が先決。

「お前、ずっとここで寝てたろ」

「だって…楽なんだもん」

「バカ。こんなとこじゃ治るもんも治らないよ」

俺は智に断る事もせず

毛布ごと抱えあげた。

「しょ…翔ちゃん?」

「ベッド行くぞ」

有無を言わさずに歩きだす。

智は黙って抱えられていた。


そっと固めのスプリングに智を降ろして

布団を掛けてやる。

「ごめん…ありがと」

「薬は?」

「…飲んでない」

「何やってんの」

呆れてしまった。

どこまで無頓着なんだ、コイツは

「寝てれば治るよ」

「…治ってねーだろが」

…買っといて良かった。

さっき、スーパーに寄った時に「念のため」と隣接する薬局で

解熱剤と風邪薬を入手してたんだ。

「薬買ってきたから、飲めよ」

俺は、立ち上がってキッチンに行くと

薬と水を入れたコップを取り

再び智の傍に戻って行った。

「ほら、智」

促すけど、智は起き上がらない。

「…起きれない」

座る事もままならない位まで、体力は消耗してるらしい。

「支えてやるから」

智の肩の下に手を入れて、ゆっくりと上半身を起こす。

熱くなっている体と、熱のせいで浅い呼吸をする智に

思わずドキドキした。

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