テキストサイズ

君がいるから

第4章 君と迎える朝

自分の中の、必要最小限の荷物と

そうだ!と思い出した体温計を入れると

飛び出すように玄関を後にした。



来た時と同じように

一応気を付けながら車を飛ばす。

信号に引っ掛かるのがもどかしいけど、さすがにこれの無視は出来なくて

車が止まる度に舌打ちしてた。



ようやく智のアパートが見える

再び同じ駐車場に車を止めると

走って智の部屋に向かった。

起きてないと良いけど…なんて考えながら

かってに持ち出した鍵で

閉めていったドアを開ける。

なるべく音を立てないように、慎重に。

靴を脱いでリビングに足音を忍ばせて進む。


静まり返っている室内。

…良かった。起きてない。

そっと寝室を覗いて見ると

規則正しい寝息が聞こえる。

近付いて見ると、寝息とは裏腹に酷く汗を掻いていた。

拭かないと、気持ち悪いよね…

勝手に出すのは申し訳ない気もしたけど

風呂場に行って、タオルを探した。

そして、お湯を沸かしてタオルを何枚か濡らして固く絞る。

智の横について、布団をそっとめくった。

「ん…?」

体を晒されたひんやりした空気に、智が身じろぐ。

「ごめん…起こしちゃった?」

「ん…大丈夫」

体を起こそうとしたから、肩を押さえてベッドに戻した。

「汗が凄いから…体を拭こうと思って」

「え…いいよ。風呂入るから」

何言ってんだ。

こんなに体力落ちてる時に風呂なんて

危ないっての。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ