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君がいるから

第5章 休日

「だって智、拭いてるだけなのに…感じたりするからでしょ」

「知るかよ…」

翔ちゃんが、そっと俺のほっぺたに手を置いた。

「愛してるよ、智❤」

そして、いきなり囁いたと思ったら、

チュッ

ってキスしてきた。



…翔ちゃんってこんなキャラだったっけ?


「いて…」

そんな事考えてる場合じゃなかった。

「翔ちゃんどいて。トイレ」

「歩ける?」

恐る恐るベッドから降りてみる。

「何とか平気」

「良かった」

へっぴり腰ながらも、歩けたから

俺はそのまま腰を抑えながら歩き出した。

その後ろで、翔ちゃんが笑いを堪えてるのがわかる。

…覚えてろよ、翔ちゃん






トイレから出ると

翔ちゃんが寝室で何やらゴソゴソしていた。

「何してんの?今日、会社は?」

俺の質問に、翔ちゃんはやっぱり…って顔をする。

「有休取った、って言ったでしょ」

「…そうだっけ」

朦朧としてる時の会話なんかまともに覚えてない。

「ついでに日曜まで、泊まるからね」

「日曜…って明後日まで?」


翔ちゃんが、そうだよ?と当然みたく言うけど

「日曜…釣りに行きたいんだけど」

「何言ってんの。病み上がりで」

「船、予約しちゃったもん」

「キャンセルしなさい」

シーツやら布団カバーを剥がしながら、あっさりと言ってくる。

「やだよ。キャンセル料高いんだから!」


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