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君がいるから

第5章 休日

…さて、どうやって翔ちゃんを説得しよう。

学生の時から、翔ちゃんを説得して

1度も成功した試しがない。

そりゃ、病み上がりなのは確かだけど

…その俺を襲ったのは誰だっつーの。



「どうすっかなー…」

今日と明日の2日もあれば、はっきり言って充分なんだけど…


それを証明すれば良いのかな。

でもどうやって?




「…出よ」

これ以上入ってたら逆上せる。

勢い良く湯船から立ちがって…

少しクラッとする。


やっぱ食べてないからかな…


脱衣所の籠の上には

いつの間にか着替えが用意してあった。

きちんと身に着けやすいように順番に重ねてある。

…お母さんみたいだな。

さっきの洗濯もだけど

これで料理が出来たら完璧にお母さん。


込み上げてくる笑いを隠すことなく

用意されてる服を着る。


頭をタオルでガシガシしながらキッチンに向かうと

「乾かすから座って」

翔ちゃんがドライヤーを持ってにっこり微笑んだ。

「んふ。ありがと」


言われるままに座れば

気持ち良い温風と、髪をとかすように撫でる翔ちゃんの指に

うっとりと目を閉じる。


こんな事、してもらったのって

どのくらい振り?


…なんか、いいな。

こういう時間。


まさか翔ちゃんがその相手になるとは

全くの予想外だったけど。




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