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君がいるから

第5章 休日


準備は整った。

「翔ちゃーん…起きて」

まだぐっすり寝ている翔ちゃんを揺さぶる。

「んー…」

無理矢理起こされた翔ちゃんが

眉間にシワを寄せて呻く。

「起きてって」

更に肩を揺すった。


「日曜なんだから…ゆっくりしようよ…」

尚も寝ようとするから

「いいから起きろっ!」

わざと耳許で大きな声を出してやった。



「もーっ!何だよ!…って、智?」

既に着替えてる俺を見て、びっくりしてる。

「翔ちゃん、俺に付き合って欲しいんだけど」

にっこり笑ってみる。


「え?」

行き先は言わない。

翔ちゃんは、俺が釣りは諦めてると思ってるから。


もちろん、俺の格好も

それを匂わす事はしていない。


「一緒に行きたいとこあるんだ」

「どこに?」

翔ちゃんがもそもそと布団から起き上がった。

その目はようやく

しっかりと覚醒している。

「…まさか釣りじゃないよね?」

一瞬ギクリとしたけど

「この格好で?」

笑って見せる。


バレない為の作戦その①

ちょっと綺麗めなシャツとチノパンを着てる俺。

どうみても釣りには向いてない。


「…そう言われればそっか」

「でしょ?ほら、仕度急いで!」



船の出港時間に間に合わない!



実は翔ちゃんが寝ている間に、釣り道具一式は

車のトランクに隠しておいた。

洋服は、仕方ないから上から防水スーツを着るように用意してある。

もちろん、翔ちゃんの分も。





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