
君がいるから
第5章 休日
「急いで!」
何故かやたらと智が急かしてくる。
俺には急かされれるままにシャワーを浴びて、外出の仕度をするしか選択がないらしい。
何があるんだか、智も何も言わない。
聞いても答えない。
ただ、急げ急げとそればっかり。
一体何があるって言うんだ。
持ってくものを聞いても「何もいらないから大丈夫」
いや、それよりも
今日はゆっくりして、明日からの仕事に備えた方が良いんじゃないのか?
学生時代は、土日に遊んで月曜にぶっ倒れた事が何回もあったよな
今の智がそうだとは言わないけど
そもそも病み上がりだ。
いくら昨日から食欲も出て
普段と何ら変わらないように見えてても
落ちきった体力は
そう簡単に戻らないだろ
…そんなような事を言っても
「運動するわけじゃないから平気」
とにっこりする智を見たら
俺がついていてやれば、無茶はしないだろう
なんて気持ちも湧いてきて。
「翔ちゃーんっ!終わった?!」
既に玄関でスタンバイしている智が声を張り上げる。
「今行くよー!」
仕上げを鏡でチェックして
俺は早足で彼の待つ玄関に向かった。
