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君がいるから

第5章 休日


普段なら、海に出ると

軽く10時間は当たり前にいると言った智が

今日は、夕方前には引き上げるよう

手配していた。


智は

「たまたまだよ」

って言ってたけど



…聞いちゃったんだよね。

出港する前に

「今日は早く戻って貰いたい」

ってお願いしてるのを。






「帰ったら、刺身にしよ!」

道具を片付けながら

智が嬉しそうにクーラーボックスを軽く叩いた。

成果は上々、らしい。



「刺身なら、飲みたくなっちゃうじゃん」

智の様子に笑うと

「飲めばいいじゃん」

何言ってんの?って顔で俺を見た。



今日は帰らなきゃいけないだろ。

明日から普通に仕事だっつーの。


「明日、月曜日だよ?」

「あ、そっか…」


凄くがっかりしたように見えるのは

気のせいじゃなかった。




帰り道の車内でも

智はあまり話さなくなっていた。

疲れてるのかな?

と思ったけど

…どうも様子が違う。


「どうしたの?」

窓の外を見ている智に声を掛ける。

帰りの運転は

半ば強引に俺が引き受けた。

何だか、落ち込んだような智に

運転させるのが不安で。





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