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君がいるから

第5章 休日

智の表情は

うかないまま。

体調が悪いわけではなさそうだし

思い当たるとすれば

…明日の仕事?

休んだら行きたくなくなったとか?


いやいや

それはないか。

仕事、楽しいって言ってたし。



「…翔ちゃん、帰っちゃうんだよね」

「え?」


予想外の言葉に思わずブレーキを踏んでしまう。

「うわっ!」

いきなりガクンと車が揺れて

智が驚いた声を上げた。

「あ…ごめん!」

後ろに車いなくて良かった…


「あぶねー…気をつけてよ翔ちゃん!」

「マジごめん!」



気を取り直して運転を再開したけど

さっきの言葉の続きが気になってしまって

どうにも集中に欠けてしまう。

このままじゃヤバイと判断して

途中のサービスエリアに車を止める事にした。



車を止めても

窓の外を見たまま

「何かさ…」

智が呟いた。

「…翔ちゃんがずっといるつもりになってた」

「え…」

「あ…いや。なんでもない」

慌てて真っ赤になって否定するけど

俺の耳にはしっかりと届いている。

「智…?」

「なんでもないから!今の忘れて!」


顔がにやけそうになるのを抑えて

真っ赤になって俯いている智の手に

自分のそれをそっと重ねる。



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