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君がいるから

第6章 一緒に暮らそう

最近、慣れてきたからか

二宮は遠慮がなくなってきた。

「彼女じゃないなら、誰ですか。…まさかおかあさん?」

「アホ。んなワケあるか」

「ですよね」



ちょっとゴメン、とコーヒーを取りにドリンクバーに向かおうとしたら

「ついでなんで俺のもお願いします」

二宮がにっこり笑ってカップを差し出した。

「おまえなー…俺にパシらせんのか」

「やだなぁ。ついでですって」

にんまりと笑う二宮を軽く睨んでから

差し出したカップを受け取る。


何だかんだ言って

今の関係は楽しかった。

何しろ

入社して何年も経つのに

ここまで打ち解けた人物は初めてだし

仕事自体も

ペースが崩されずにやりやすい。

だから

ちょっと甘やかしてる気もしないでもない。



二人分のコーヒーを淹れて、席に戻ると

「ありがとうございます」

満面の笑みで

二宮は俺を迎えた。



「で…誰と住むんですか」

やっぱり気になるらしい。

「そんなに気になる?」

まだ熱いコーヒーを少し、口に含む。

「だって、櫻井さんのプライベートって何だか謎なんだもん」


「何だよそれ」

思わず吹き出した。

別に隠してるつもりはない。



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