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君がいるから

第6章 一緒に暮らそう

最初に1人でアパートを探した時は

本当に気楽なものだった。

だけど

「住めればいい」

と思っていたあの時とは違う。


大事な人と住むとなれば

チェック項目はたくさんあるのは当然の事。



「智…?」

気付いたら全然智は喋っていなかった。

チラッと見ると

幸せそうに眠っている。


ー…楽しみにしてたんじゃないのかよ!

はぁ…

これが《大野 智》なのは分かるけどさ

こいつから

釣りと睡眠を取ったら何が残るんだろう…


俺は

一人ブツブツ言いながら

目的地に車を走らせた。





「智!着いたよ!?」

よだれまで垂らして

あっちの世界に行ってしまっている智を

少し乱暴に揺する。

「にゃ~…」

…そんな可愛い声出すな!

揺すってダメなら

これなら起きるだろ。


俺は智の鼻をグイッと摘まんだ。


「…んがっ!?」

ほら起きた。

鼻呼吸なら、塞ぐのが手っ取り早い。


「着いたよ?」

「…普通に起こせよぉ」

「…起きないでしょ」

「すみません」

「素直でよろしい」


思わず顔を見合わせて

お互いが吹き出した。









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