君がいるから
第6章 一緒に暮らそう
「ありがとね、翔ちゃん」
アパートの下では
既に智が
階段に座って待っていた。
俺の車を見つけて
嬉しそうに中に滑り込んでくる。
「中で待ってれば良かったのに」
「んー…何かさ、外にいたくなったから」
「なに…待ちきれなかった?」
悪戯っぽく囁いたら
「そうかも」
智はふにゃっと笑ってから
ちょっと恥ずかしそうに
目を逸らした。
頬が少し赤くなっている。
…可愛い。
俺まで、ちょっとドキドキした。
「雅紀たち、着いてたら悪いから急ぐよ」
ドキドキを隠すかのように
少し早口で告げて
俺はアクセルを踏み込んだ。
やっぱり、と言うか
予想通りと言うか
雅紀と二宮は
アパートの下で待っていた。
袋を提げた俺達を見つけると
雅紀が走ってきて
「もー…待ってたんだよぉ?」
少しむくれたように言いながら
提げているそれを取り上げた。
そして
そのまま歩き出す。
「悪い悪い。…結構待ってた?」
歩きながら、雅紀の肩を軽く叩くと
「…5分も待ってないですよ」
そう言って、近くに来た二宮が
苦笑を浮かべると
「嘘言わないの!」
いきなり
雅紀の頭をひっぱたいた。