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君と僕。

第3章 君と僕と好奇心

「あ、懐かしい」

部屋のクローゼットを整理していると、絵の具セットが出てきた。
水彩絵の具と、アクリル絵の具があって、中学の頃を思い出す。

「あれ、絵の具?」

「はい。出てきました」

「へぇ、良いね。何か描いてみる?」

時雨さんの提案で、僕達は画用紙に絵を描くコトにした。

「最近何描いた?」

「うーん…大学で描いた生物の細胞分裂の様子なら描きましたけど」

「うわ、細胞分裂とか懐かし」

目を細めて微笑むと、時雨さんは鉛筆を走らせた。
描いているのは薔薇だろうか。
なかなか難易度の高い花を選んでいる。

「可愛いね、猫?」

「キリンです」

「……」

「キリンなんです!!」

微生物と細胞以外は描けません。
沈黙の後耐えきれなくなったのか時雨さんが笑う。
しかも結構な大爆笑だ。

「い、良いじゃないですか!」

「そ、ぶふっ…そだね。ふはっ」

言い返せないのがもどかしい。
時雨さんの薔薇めっちゃうまいし。

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