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君と僕。

第10章 君と僕と誕生日

僕は時雨さんの手を取ってそっと指輪をはめた。
右手の、薬指だ。

「左手じゃないんだ?」

「そっちはもっと立派なののために残しとくんです。これは、モッテモテボーイな時雨さんの虫除け」

白い肌に宝石の赤がよく映える。

「ふふ、モッテモテボーイかぁ」

時雨さんは心底嬉しそうに指輪を見つめると、大事にするね、と呟いた。
机の上の明かりと、カーテンの隙間から入る月明かりしかない部屋なのに、時雨さんは妙に鮮明に見えて。

「俺もつけていい?蓮君に」

「は、い」

カッコよくて。
愛しくて。
胸がはちきれそうなくらい苦しい。

「ん、似合う」

胸がいっぱいいっぱいで、堪らなくなって時雨さんに抱きつく。

「大好き、大好きです」

「あはは、何だか素直だね」

夜の雰囲気や、月明かりに照らされる指輪。
幸せすぎて怖くなる。

どちらともなくそっと触れるだけのキスをして、僕達は笑い合った。

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