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君と僕。

第4章 君と僕と憤怒

「そんなの、俺だってそうじゃないか」

俺だって、蓮君の未来を食い潰してる。
そんなこと分かってる。

「それでも、年甲斐も無く離れたくないと思ってるの...俺だけ?」

蓮君の少し大きな瞳から涙が流れた。
肩に必死に抱きついて、目一杯に首を振ってる。

「ぼく、も...やだぁっ!時雨さん、と離れるのやだ、でも、僕じゃ...ぼく、じゃ...」

君の自己自信のなさは筋金入りだね。
俺はそっとキスを落とした。

「君の言うそれが"普通の幸せ"なら、俺はいらないよ」

とめどなく流される涙をシャツの袖で拭いとる。

「君といることが"不幸"なら、俺はいくらだって幸せを振り払って君との不幸を選ぶよ」

側にいさせて。
君のそばに。

どうか。

「時雨、さん...」

真っ赤な瞳が細められ、今度は蓮君からキスをされた。
さっきの様に欲情したキスじゃなく、きごちなく、初々しいキスだ。
照れたように、何か吹っ切れた様に微笑む。

「好き...です、時雨さん。僕も、時雨さんがいるなら、不幸でも...良いです」

あぁ、やっぱり。
俺の恋人は世界で一番可愛い。

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