テキストサイズ

君と僕。

第4章 君と僕と憤怒

「蓮君...」

蓮くん

蓮くん...



心の中で何度も何度も君の名前を呼ぶ。
愛しさが溢れて。

好きだ好きだって叫んでる。

「し、ぐ.....さ?」

俺が動かなくなったからか、蓮君が喘ぎ混じりに首を傾げる。

「ね、俺が君を好きなのって...ダメなこと?」

蓮君の肩にそっと目元をくっつける。
覆いかぶさったままだから、蓮君の体温が直に感じられた。

「ふぇ?」

カチン、とローターの動きを止める。
息が上がってるけど、蓮君は喘ぐのをやめた。

「僕...男です」

しばらくすると、落ち着いたのか蓮君が口を開く。

「知ってる」

「結婚出来ないです」

「知ってる」

「子供だって...産めない」

涙声なのは、どうして?

「うん」

「街中で手も繋げないし、キスもできない」

苦しそうなのは、どうして?

「...うん」

「僕は...そういう、普通の幸せを...時雨さんから奪ったんだ...っ」

ぎゅうっと俺の背中に手を回してチカラを込める蓮君。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ